
はなことば
第10章 Coreopsis《大学生》
唯音「……歌田李杏」
彼が私の顔を見て
固まった
あぁ、何やってるんだろう。
自ら素性を明かすなんて。
唯音「え?え?……え?」
完全にパニックだ。
唯音「ごめんなさい。ごめんなさい。
俺、、なんか……失礼なことばっか…」
李杏「別に……」
唯音「……どうしてこんなとこに?…
確か…活動休止して…あ!!
アレだ!男性アイドルとの熱愛!!」
李杏「言わなくていいから。」
唯音「あっ、ごめんなさい…」
李杏「はぁ、熱愛なんて…デタラメよ」
唯音「デタラメ?」
李杏「熱愛なんてコレっぽっちもない。」
唯音「どうして……否定しなかったんです?」
李杏「事務所に止められたの。
こういうことも…売れるチャンスの一つだって。
でもあんなおおごとになって…
私はもう……戻れなくなった」
唯音「でも…相手の人は?」
李杏「相手も同じ。あとから知ったけど
事務所に止められて否定できなかったって。」
唯音「そんな…」
李杏「でももういいの。戻る気なんてないから。」
唯音「戻らないんですか?!」
李杏「うん。普通に戻るの怖いし…。
ていうか、そんな話はもういいから!!
ところでさ……君、いつ帰るの?」
唯音「あっ、すみません居座って。今すぐ…」
李杏「そうじゃなくて。
……いつまでキャンプしてるの?」
唯音「1週間くらい各地転々としながら
しようかなって思ってて…」
李杏「ふーん……それ、やめたら?」
唯音「え?」
李杏「それやめて、ここに居ないよ。
大学生、最後の夏休み何でしょ?
いい思い出作ろうよ、一緒に。」
突拍子もない彼女の言葉
でも彼は受け入れた
