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はなことば

第10章 Coreopsis《大学生》

〜李杏side〜



彼の中でなかったことになったのだろうか

あのキスの後も

彼は普通に接してきた

そんな彼に

ほんの少し腹が立った



唯音「あの…李杏さん…」


また" さん" 付けだし…


李杏「ん?」

唯音「明日でここに来て7日目です。」

李杏「うん。」

唯音「だから…明日、帰ろうと思います。」

李杏「っ……あっ、そう。」

唯音「だから……
最後に連れていきたいとこあるんですけど」

李杏「ん?どこ?」

唯音「それは内緒です。
最後の夏の思い出、一緒に作ってください。」




昼をすぎて
準備を終えると
2人は家を出た


山々を歩き続け
1時間


李杏「ねぇ、、まだ??…ハァハァ」

唯音「疲れましたね、ちょっと休憩しましょう!」


横たわった木に
2人は座った


唯音「この1週間、夢みたいな時間でした。」

李杏「夢?」

唯音「はい。…2人で遊んだり、ご飯食べて、散歩して…あ!花火も!
めちゃくちゃ楽しかったです。」

李杏「…また1人か」

唯音「え、」

李杏「……私も楽しかった。本当に。
明日からまた1人生活だ。」

唯音「……また来ます!遊びに来ますよ!」

李杏「それは…ダメ」

唯音「えっ?」

李杏「思い出にして。私と会ったことは。」

唯音「でも……」

李杏「友達も…今日まで。」

唯音「っ……」

李杏「そろそろ行こ。休憩は終わり。
雲多くなってきたし、雨降ってきたら困るから
早く行こ。」

唯音「はい…」




しばらくして歩いてると

ポタ……ポタ……


唯音「っ、雨…」

李杏「降ってきた…急ご!」



傘を持っていない私たちは
気がついた時には
服も靴もびちょびちょだった



唯音「あそこ!行きましょ!!」



彼が指さす方向に
小さな小屋があった

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