
はなことば
第7章 Sea Holly《兄妹》
22時_
ガチャ
色羽の部屋の扉が開いた
虹輝「色羽、何?」
ノックもせず、
お風呂あがりのせいか上裸で部屋に入ってきた
色羽「ちょっと、虹輝!ノックしてよ!」
虹輝「なんか用?」
色羽「なんか用?じゃなくて、服着てよ!」
虹輝「湯船入ったから暑いんだよ」
色羽「もう…」
虹輝「っで、何?」
色羽「あっ……これ、聞きたかっただけ」
机の上にある数学の教科書を手に取り
虹輝に見せた
虹輝「あぁ、これは」
上裸のまま、色羽に寄り
おもむろに顔も近づく。
色羽「っ…」
横目で虹輝を見る色羽の目が泳いだ。
私は兄に
ドキドキしているのだ__
この感情は、あってはならない__
虹輝「……色羽、聞いてる?」
色羽「えっ?」
虹輝「全然聞いてなかったでしょ?」
色羽「…ごめん。」
虹輝「てか、、」
虹輝は色羽のおでこに手をあてた。
色羽「…っ! 」
虹輝「もしかして熱ある?」
色羽「え?ないよ!!」
虹輝の手をはらい、
泳ぐ目を伏せた。
虹輝「ならいいけど…。顔赤かったから。」
色羽「…赤くないし。大丈夫だから。」
虹輝「うん。なら良かった。」
色羽「これ…もう1回教えて。」
虹輝「うん。」
また1から、虹輝は解説し始めた。
去年、虹輝と同じ高校に入学して
兄がモテ男だということを知った。
入学そうそう
『雨宮くんの妹なんだよね?』
『虹輝くんにこれ渡しといてくれない?』
『雨宮くんってどんな子がタイプ?』
先輩からも
同級生からも
話しかけることと言えば 虹輝の事だった。
勉強もできて、
運動もできて、
180cmの高身長な上、
学校ではクールを気取っているようで
異様にモテる。
