デリヘル物語
第3章 take3
気が付くと僕は、暗闇にいた……いや、目をつぶっていたんだ。壁にもたれていて、なんだか身体を押さえつけられて身動きのとれない状態だ。
それに、唇になにか濡れた柔らかい感触を感じる――そう思っていると、それよりもはるかにやわらかい感触が僕の唇をこじ開けて中に入ってきた。それを感じた瞬間僕の舌はとろけてしまいそうだった。
それと、ほのかに甘い香りもする。どこか懐かしくて僕の好きな匂いだ。
そこで僕は目を開いた。
あけみさん――が、いた、僕のすぐ目の前に。彼女は目をつぶっている。
「えっ……な、なんで」僕は思わず声を漏らした。
それとほぼ同時ぐらいに「いたっ……」とあけみさんの声が聞こえた。
かと思いきや、バチンっと言う音と同時に左の頬に衝撃と痛みが走った。どうやら、僕は、あけみさんに手のひらでぶたれたようだ。
「なにすんだよ、いきなり」あけみさんが眉間にしわを寄せて言った。「せっかくこのあたしが濃厚なキスをしてやってんのに……なんてがき――」
「ごめんっ……あけみさん」僕はそう言うと、あけみさんを抱きしめた。
「ふえっ……」
「よかった、あけみさん……また会えて……」
そして今度は僕の方からあけみさんの唇に自分の唇を重ねた。
「ごめんね、痛かったろ……」僕はそう言って、おそらく僕が声を出した時に歯が当たってしまったであろう部分に口づけをした。さらにそこを優しく舌でなめ回してから優しく吸い込んだ。
「ふえんっ……」
しばらくそのまま僕は、あけみさんの匂いと唇の感触を感じていたんだ。
するとあけみさんが僕の身体を両腕で押し返してきた。
「こっ、これじゃあ、コースと違うだろ……」そう言って、彼女はまた僕の身体を壁に押し当てると「それに、わけのわからない事を言い出すし……困った坊やね」そう言って、僕に優しくキスをしてきた。
あけみさんのキスが首すじを辿り徐々に下に下がっていくと、彼女はそのまま僕のワイシャツのボタンを外し始めた。
彼女の唇が乳首に達した時、ワイシャツは完全にはだけ、ボタンを外していた手はズボンのファスナーを開け始めた。