デリヘル物語
第4章 take4
「あけみさんしか勝たん!!」僕はそう叫びながらさらに激しく腰を振った。
「坊や……あたしもよ……はぁはぁはぁ」
とあけみさんがいったその時だった。ピンポーーンと、音が聞こえた。チャイムの音だ。
僕はその音で動きを止めた。
誰だよ……こんな時に……僕がそう思っていると、玄関のドアノブがガチャガチャっとひとりでに動き出し、さらにドアが外側から開いた。
外には見覚えのある男が立っていた。
谷崎――だった。
僕は呆気にとられたまま、まるで金縛りにあったみたいに固まっていた、あけみさんの腰を両手で持ったままの状態で。
「あ、あけみ?な、なんで……」と谷崎は言いながら、彼もまた同く呆然としていた。口と目を大きく開けたままドアノブを持ってしばらく停止していたんだ。
僕はそこで、我に返りそのまま谷崎に尋ねた。「まさか、二人は知り合いなんですか?」
すると谷崎はまるで僕の言葉など一切聞こえていない様子であけみさんに言った。
「あけみ……何やってんだよ?俺はお前の事をずっと探してたんだ……」
「ふんっ、何を今さら……」あけみさんは壁に手をついたまま谷崎に答えた。「それに、あたしの事を捨てたのはあんたの方じゃない……ほらっ、坊や、さっさと腰を動かしなさい」そう言って自ら自分のお尻を僕の股間に当てるように動かし始めた。
「えっ、でも、あけみさん、いいんですか?」そう言いながらも僕はあけみさんの動きに合わせてさらに激しく腰を振った。
僕は、限界に達してしまいそうだった。「あけみさん、いっていいですか……?」
「だめに決まってんじゃない……はぁはぁはぁ」
「きみは……高橋くんか?」そこで谷崎はようやく僕に気が付いた。そして「おい、高橋くん……」そう言って僕の両肩を掴んでさらに、声をあげた。「高橋くん、おい!」
「起きろ高橋くん!」
谷崎のその声で僕は目を覚ました。谷崎が僕の肩を揺すっている。どうやら眠っていたようだった。
「高橋くん、きみもひどいな~。俺が真剣に話してるのに寝ちゃうなんて」そう言って、谷崎は久しぶりに笑顔を見せた。
「えっ……夢!」僕はそこでようやく状況を把握した。
「まさかの夢落ちかよ……!?」
「ああ、きみは俺が話している最中に眠ってしまったんだ」と谷崎が言った。