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デリヘル物語

第4章 take4



「それで谷崎さん、僕はどの辺りから寝ていたんですかね……?」と僕は谷崎に尋ねた。


すると谷崎は僕を不思議そうに見ながら「えっ、高橋くん、それはどういう意味なんだい?」と逆に聞き返してきた。


「そうっすよね……いや、ちょっと聞き方がおかしかったっすね。……えっと、今回あなたと会って、僕はいつから寝てたんですか?」


「ああ、そう言う事かい……」谷崎はそう言うと、腕を組んで首をかしげながら宙を見上げた。「いやぁ、いつって言うのは具体的には分からないんだけどな。会ってすぐと言うか、気付いたときにはきみはもう寝ていたんだ……」


僕はそこで閃いて、再び尋ねた。「それはちなみにどんな話をしている時でした?」


「いやぁ、それもまた微妙なところなんだけれど……確か『バタフライ・エフェクト』の話をしていて……」


「えっ――バタフライ・エフェクト?スクワットエフェクトではなくて……」


「なんだい、そのスクワット・エフェクトと言うのは……?」谷崎は又しても不思議そうに僕の顔を見た。


「いえ、ちょっと僕の記憶がこんがらがってしまってるみたいで……」僕はそう言いながら谷崎の耳たぶを見た。


するとなんと谷崎の耳たぶには、傷跡らしきものが確かにあったが、でもそれは、明らかに最近出来たものでは無かったんだ……。


どういう事なんだよ……そう思っている時に、僕はふとある事を思い出して谷崎に尋ねた。


「じゃあ、二人の少年の話はしましたか?」


「二人の少年の話、って……?どんな話だい?」と谷崎は再び聞き返してきた。


「えっ、だからそれは……その少年達が行方不明になって……それから、なぜか二十年後に発見された……って言う話なんですけど……」


谷崎は、今度は何も言い返してこなかったが、でも、僕の遥か後方を見て固まっていた。瞬きもせず、呼吸もしていないようだ。


「谷崎さん、ちょっと――大丈夫ですか?」僕は谷崎の左腕を揺すりながら尋ねた。


「……はっ」となって、谷崎は我に返ると、その途端に目を丸くして僕に言った。「高橋くん――なぜ、きみがその話を知っているんだい?」


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