デリヘル物語
第4章 take4
谷崎のその表情に僕は戸惑いながらも答えた。「いや、それは……その、さっき寝ているときに夢の中で谷崎さんがその話をしてたんで……」
「どういう事なんだ」そう言って谷崎は腕を組み眉間にしわを寄せて首をかしげながら今度は俯いた。その様子からして何か考えているみたいだった。
僕は不安にかられて谷崎に尋ねた。「谷崎さん……どうしたんっすか?なんかまたやばい感じっすか?」
谷崎は顔をあげ僕を見た。「いやぁ、高橋くん……もしかしたら、これは――俺達も、その二人の少年達のようになりつつあるかもしれないな」
「二人の少年のようにって……どうなるんすか、僕達?」
「う〜ん、そうだなぁ……」そう言って、谷崎はしばらく宙を見上げた。それから僕に視線を戻すと再び尋ねた。「それで、俺はきみのその夢の中でどこまで少年達の話をしたんだい?」
「えっと……そうっすね……確か、再び小学校に通い始めて……それから、その小学校でとある噂が流れた、ってところ迄っすね、確か」
「そうか、なるほど……」そう言って谷崎は又しても宙を見上げてから、鼻から息を吸い込みそれから僕を見て話し始めた。「その二人の少年達は、二十年後に発見されてから、再び小学生として小学校に通い始めたんだがな……。それからしばらく経つとその小学校で、ある噂が流れ始めたんだよ。その噂と言うのがね、どうやら、その二人の少年がなにやら怪し関係だ、と言うものなんだ……」
「あ、怪しい……とは?どんな関係なんですか?」
「そう、そこなんだがな……。具体的な話では、その少年達は、授業が終わった後――放課後の教室でよくディープキスしているのを他の生徒達に目撃されていたみたいでね……」
「ディープキス、限定……なんすか?」
「ああ、そうだ、高橋くん。フレンチではなくて――ディープの方だ」
「そ、そうなんすね……ていうか、それってボーイズラブってやつじゃないっすか」
「まあ、つまりはそう言う事なんだ……」
「て事は、谷崎さん、まさか俺達も『げげげのゲイたろう』デビューを果たすってことですか?」
「いや、この話にはまだ続きがあるんだよ。だから、安心してくれたまえ、高橋くん」