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幽霊の悩み事

第1章 幽霊の悩み事

 そんなばかな、と出店の人は青ざめている。たしかに普通は落ちない。落ちるはずがない。なぜならゲーム機の箱の中にはゲームではなく、石が入っているのだから。


「すみません。僕、こっちがいいです。万華鏡、もらいますね?」


 僕は適当に目についた万華鏡を手にとって、その場から去った。


『えええ〜!? ちょっとぉ〜、なんで万華鏡!? 人がせっかく……』

「ねえ、いつから物が触れるようになったの?」


 僕たちは人気のいない場所に移動した。


『う〜ん、なんかね、色々念じてたらできちゃった』


 幽霊は物を触れない。動かせない。でも悪霊になったら……。


「……気づいてる? 君の身体、黒くなってるよ」

『……っ』

「いいの? このまま悪霊になったら、お母さんのことも忘れちゃうんだよ」


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