悪役令嬢は次期公爵のあま〜い♡溺愛をうける。
第1章 **01
物語は今どうなっているのか、訳がわからなかった。
私は悪役令嬢で、ヒロインを虐めて虐めて虐めまくった後で殺しにかかり、そこに偶然通りかがりの王子に取り押さえられて処刑される···と言う展開になるはずなんだけれど。
私(悪役令嬢)が公爵家へ嫁ぐ何て話、あったか?
と考えても、どう考え直してみても処刑エンドか島流ししか思い出せなかったのだ。
それに、私が毒殺未遂により今まで眠っていたらしい事は何となく察しがついた。
「あの、お兄様。泣いている所すみませんが、私がどうしてこうなったのか、御説明頂いてもよろしいですか?」
「···、覚えていないのなら無理に思い出す必要は無いだろう」
悲痛下に眉を額に寄せた兄、エグゼリアにいくら悪役でわがままな妹だとしても、可愛がっていた事が手に取るようにわかった。
「知りたいのです。それにこれは、今まで好き放題してきた私への罰なのでしょう」
「い、妹が···リーチェがいつの間にかこんなに大人にっ」
いちいち感動する兄に若干の面倒臭さを感じつつ、「さぁ、教えてください」と話を促した。
「リーチェ、君は先日の舞踏会のあの日、異界から来た聖女であるサクラにより毒を盛られ殺されそうになったんだ」
(···何やってんのヒロイン)
「気の強い聖女だった。『これは今までの仕返しよ!この性格ブス令嬢がっ!!』と言いながらお前の口に無理やり毒の入ったジュースを飲ませたんだ。で、お前が吐血して今に至ったわけだ」
(ヒロインの性格が強烈過ぎたと言うか···ヒロインをブチ切れさせた私の方に非があったんだと思う···)
そりゃ嫌がらせのオンパレードさせれば相手もキレるわな。
「その、サクラさんは今は···」
「あぁ、異界に返した」
(良かった)
処刑、されずに済んだようで安心した。
安堵したのもつかの間、兄は重たいため息を吐いた。
「だがな···。ただ1つ、困った事にお前の悪い噂が流れてるんだ。『性格ブス令嬢』と···」
「あははー···」
それはもう、自業自得としか言えない。