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お題小説 labyrinth(心の迷宮)

第1章 ラビリンス(labyrinth)

 6

 本当はそのサイズ感だけではなかったのだ…
 
 だがそれは、なぜか、なぜだかはわからないのだけれども…

 彼の纏っている空気感が…

 そのわたしを見るまなざしの優しい目が…

 体温が…

 匂いが…

 肌同士の触れ合う感触が…

 彼の声音の響きが…

 そんな彼の全ての存在感が…
 
 なぜかわたしにとってもの凄く、いや、堪らないほどに心地よくて、ううん違う……

 震えてしまうほどに愛おしく感じたのだ…

「あぁ…ぁ、んくぅ……」
 
 その証拠に、今、彼の指先のクリトリスへの弄りの愛撫だけで…

 その彼のぎこちない指先の弄りだけで…

「はぁぁぁ、ぅくぅぅぅ……」
 全身に痺れる様な快感が走り、わたしは瞬く間にイッてしまった…

「はぁぁ…んん………」
 こんな指先の愛撫だけでイッてしまうなんて…
 ソロプレイの自慰をしたって、今までこんな簡単にイッた事がないのに。

 だけど…
 この男の、この彼の指先の、しかも決して巧みとはいえない指先のぎこちない愛撫なのに…
 わたしはいとも簡単にイッてしまうみたいであった。

 それにこのキスだって…
 決して、いや、上手なキスとはいえないのに、なぜか心が揺れてしまうのだ。

 いったいなぜ、なぜにこんなに、心が震え、蕩けてしまうほどに感じるのだろうか?
 
 わたしはその軽い絶頂感の余韻に震えながら身を任せ、そしてそんな想いを巡らせていくのだが…

 ズキズキズキズキ…

 そしてその快感の余韻が呼び水となり、急に強く、彼を、そのジャストサイズの怒張が欲しくなり…
 激しく子宮が疼き、泣いてきたのである。

 そしてわたしは…
「あ…ん………」
 彼の目を見つめ…

 早く、早く、アナタが欲しいの…

「ね、ねぇ……」

 早く、早く、挿入れてよ…
 と、目で自らの欲望の想いを訴えていく。

 すると、まるでわたしのその心の想い、心の叫びが聞こえたかの様に…
「あ、う、うん…」
 彼はそう頷き、そして両脚を抱え…

「はぁぁん、んんっ」
 ニュチュ、ビュニュ……
 挿入れてきたのだ。

 そうそれはまるで、以心伝心の、あうんの呼吸の如くの自然な流れといえた…


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