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王都崩落

第1章 1

ㅤ​──残念ながら、この世界と云うものは地獄である。
ㅤ其れは変えられない現実であり、私が産まれた時から何も変わっていない。



ㅤ硝煙が香る。
ㅤ此の街は何時もそうだ。

ㅤ何処かで爆発が起き、何処かで争いが起きる。
ㅤ銃の音、そして薫る煙。歪な街並みの中、静かな喘ぎ声が響いた。

ㅤ​───そう、之は私の声だ。

「​────あ、あん。ぁあ……。」

ㅤ悩ましく響く偽物の声。ぎしり、と粗末なベッドが鳴った。

ㅤ眠りに帰るような部屋の中、私は肉塊に抱かれていた。

ㅤ絡む肉塊は重く、でっぷりと肥えていた。
ㅤ埋もれるように私を抱き、そして揺さぶる。

ㅤ其処に愛はなく、ただ欲をぶつける様な、乱暴と虚しさがあるだけ。

ㅤ其れでも感じてしまうのは、娼婦のような自分の性だろう。

ㅤぎしり、とベッドが揺れ、男が呻きを上げる。彼の中から、生命の塊が吐き出される其の前に​─────。

ㅤ硝煙の音が響き、唯の物云わぬ肉塊へと姿を変えさせる。

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