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「いえいえ、しかし何故こんなご命令を？ㅤクルト殿になにかされましたかな？」

ㅤ整った顔で、リチャードと呼ばれた悪魔が嗤う。

ㅤ嘘くさい下卑た笑みを見詰め、私は少しばかり不快感を覚えていた。

ㅤ先程の熱さが微かに蘇り、触れていた手が吹き飛び、冷たい肉塊に変わる瞬間を思い出す。

「嗚呼​──カールが教えてくれたんだ」

ㅤカール。其の名前に眉を顰める。
ㅤまたか。

ㅤ其の感想は隣に居たリチャードも同じであったらしく、苦々しい笑みを浮かべていた。

ㅤカール・クラウド・エンチャンター。
ㅤ表向きの地位は海軍元帥。総統閣下と呼ばれる少年の後継者にして……。

ㅤ裏で彼を好き勝手に操っている悪魔だ。