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自殺紳士

第14章 Vol.14:心中の娘

それが、本当に嬉しかった。
現に、大学生になって、社会人になって、引っ越しをしても、
やり方は変わったけれども、手紙のやり取りはできていたから。

本当に、不思議な話。

ー結局、その人とは会えなかった?

うん・・・多分・・・

ー多分?

会ったことがないはずなんだけどね。
 ぼんやりとした、イメージだけがあるの。

黒いスーツに、黒っぽいネクタイ
優しそうな目で、いつも私を見ていてくれた人
男の人だった

ー男の・・・人?

え!?違う!違うよ!!
好きとか、そういうんじゃなくて、
どっちかというとホラーじゃない?!

でもね、ひとつ言えること、
 あの手紙、役に立たなかったけれども、
 あれがなかったら、私は、きっと、ここまで来れなかった。

あなたにも、出会えなかった。

うん、そうね。
こんな、変なところがある娘だけど
ねえ、『あなた』・・・

 明日から、私のこと、末永くよろしく、お願いします、
ね?

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