
自殺紳士
第14章 Vol.14:心中の娘
ーよく、無事で生きてこれたね・・・
うん・・・
そう、それがもうひとつの秘密。
こっちはもっと不思議で、もしかしたら信じてもらえないかもしれないけど・・・。
私には『文通相手』がいたの。
残っている一番古い手紙が多分小学校5年生のときのものだった。
整った字で、
『つらくなると、死んじゃいたいって思うことはだれでもあるよ』
『でもね、ぼくは君に死んでほしくなんかないんだ』
『手紙をくれてありがとう。苦しい気持ちを話してくれてありがとう』
そんな事が書いてあった。
当時の私は、お友達に絶交されて悩んでいたみたい。
『文通相手』の人は、私の気持ちを分かるよって言ってくれていたみたいだった。
ーその人って誰?
うん・・・そう聞くよね?
でもね、不思議なんだけど、すごくよく知ってるようで、
でも、名前も顔もわからないの
ーどうやって、手紙を送っていたの?
うーん・・・それも不思議で、
家の郵便受けに、私が手紙を入れておくの
そうすると、その手紙がなくなっていて、
しばらくしたら、返事が来るの。
お母さんが、お返事きたわよ
って教えてくれるときもあるから、
『誰が持ってきてくれているの?』
って一度聞いたことがあるんだけど
お母さんは、うーん、て、ちょっと考えて
あら誰だったかしらって。
だから、知らない人と、私、『文通』してたの
手紙はいっぱいある。
私が辛いとき、なんども、なんども
その手紙には、『こうすればいいよ』とか『こうしなよ』
みたいなことは滅多に書かれていなかったし、
『死ぬなんて考えちゃダメだ』とか
『命を大事にしなきゃダメだ』なんてことも書かれたことはなかった。
そういう意味では、あんまり役に立たなかったかもしれない。
でもね・・・
いつも、最後に、こう書いてあった。
『いつでも、お手紙、待ってます
君が困っていたら、必ず、行きます』
うん・・・
そう、それがもうひとつの秘密。
こっちはもっと不思議で、もしかしたら信じてもらえないかもしれないけど・・・。
私には『文通相手』がいたの。
残っている一番古い手紙が多分小学校5年生のときのものだった。
整った字で、
『つらくなると、死んじゃいたいって思うことはだれでもあるよ』
『でもね、ぼくは君に死んでほしくなんかないんだ』
『手紙をくれてありがとう。苦しい気持ちを話してくれてありがとう』
そんな事が書いてあった。
当時の私は、お友達に絶交されて悩んでいたみたい。
『文通相手』の人は、私の気持ちを分かるよって言ってくれていたみたいだった。
ーその人って誰?
うん・・・そう聞くよね?
でもね、不思議なんだけど、すごくよく知ってるようで、
でも、名前も顔もわからないの
ーどうやって、手紙を送っていたの?
うーん・・・それも不思議で、
家の郵便受けに、私が手紙を入れておくの
そうすると、その手紙がなくなっていて、
しばらくしたら、返事が来るの。
お母さんが、お返事きたわよ
って教えてくれるときもあるから、
『誰が持ってきてくれているの?』
って一度聞いたことがあるんだけど
お母さんは、うーん、て、ちょっと考えて
あら誰だったかしらって。
だから、知らない人と、私、『文通』してたの
手紙はいっぱいある。
私が辛いとき、なんども、なんども
その手紙には、『こうすればいいよ』とか『こうしなよ』
みたいなことは滅多に書かれていなかったし、
『死ぬなんて考えちゃダメだ』とか
『命を大事にしなきゃダメだ』なんてことも書かれたことはなかった。
そういう意味では、あんまり役に立たなかったかもしれない。
でもね・・・
いつも、最後に、こう書いてあった。
『いつでも、お手紙、待ってます
君が困っていたら、必ず、行きます』
