悪いオンナ…2
第1章 【美大生の僕は魅力溢れる彼女に心奪われて…】
ワイワイガヤガヤしてる居酒屋
サークルの集まりで大人数の飲み会に強制出席させられたわけだけど、どう見ても僕は浮いてる…
美大生が皆、オシャレでイケてると思われるのが癪だ
僕はイケてない部類に……入ると思う
モッサリした髪型だし、黒縁眼鏡、TシャツGパンが全然オシャレに着こなせない
おまけに猫背だし、前髪あげたら今朝はニキビが出来ていた
夕方になれば髭だって生えてきちゃう
あぁ、一刻も早く此処から立ち去りたい
帰ってデッサンしたい
僕なんか居ても居なくても一緒だろ
トイレ行くふりして帰ろうかな
会費が勿体ないけど、最後まで居たくないし
キョロキョロして様子を窺っていると……
「よぉ、お待たせ、連れてきたぜぇい!」
と皆の視線を奪ったのはサークルで一番のモテ男、岩崎拓哉で隣には知らない女の子
周りの男子が「やったー!」と声を上げる
その声にビクつく僕
何なんだよ、誰…?
違うサークルだけどお願いして来てもらっただと?
岩崎がしそうな事だ
「本当に良いの?私、場違いじゃない?」と一応周りをきにする彼女は周りの男子に「こっちこっち」と座らされている
全く女子が居ないサークルではないけど、所属している少ない女子からも彼女は人気があるようだ
何処の学科か知らないけど、こんな人居たんだ、って程度
どっちにしろ、僕はもう帰る
そう思い、立ち上がろうとするとそれを何故か阻止しようとダル絡みしてくる上級生
帰るタイミングを完全に見失ってしまった
一際笑い声の聞こえるテーブルは、やはり彼女を囲んで必死なアピールタイムな野郎たち
そういうの、格好悪いって思わないのかな
それとも、あんな風にガツガツ行った方が彼女出来る可能性が高くなる?
いやいやいや、僕は別に彼女が欲しいわけじゃない
大好きな絵さえ描けたらそれで良い