悪いオンナ…2
第1章 【美大生の僕は魅力溢れる彼女に心奪われて…】
こんなモサ男、記憶にすら残らないだろう
後で集合写真見て「これ誰?」って言われちゃうのがオチだ
そんなのもう慣れてるし、今までもこれからもそういう人生なんだよ…多分
やたら注がれるお酒を流し込み、トイレで何度か吐いた
そこから記憶がところどころ消えている
全く……飲ませ過ぎなんだよ、今すぐにでも帰りたいのに
「バカヤロー……」
「あ、目、覚めた?」
なんか、フワフワしてる……気持ち良い肌触り……
「おーい、気分どう?まだ吐き気ある?」
なんか、めっちゃ可愛い声が近くで聞こえる……
髪を撫でられて「またオネムか…」って
柔らかい枕だな……ん?あれ、これ枕?
パチっと目が覚めて、枕を確認する
え、此処どこ?
外だけど、寝てたのか?
ヤベ、お開きになって、こんなとこで寝かされてたなんて
え?これ足…じゃない?
誰かに膝枕されてるってやっと把握して飛び起きる
「わわっ、すみません!ごめんなさい!」
眼鏡がなくてボヤけてる
誰だ?誰…ですか?
「大丈夫?だいぶ飲まされてたみたいだけど」
「え?え?あの……」
ハイ、と手渡された眼鏡を掛けて見たら、違うサークルだけど連れて来られたあの美女だった
「え?あの、皆は?」
「二次会じゃない?さすがに私はやめといた、ていうか酔わすだけ酔わせて置き去りとか酷いね?」
「えっと、あなたは…?」
「あれ、自己紹介したのに聞こえてなかった?長谷川多希だよ」
フフン…と悪戯っぽい笑みに不覚にもドキッとした
あんな大人数から、いざ2人きりだし、公園のベンチに座ってるから距離も近い
「キミは?渡辺って呼ばれてたけど、下の名前は?」