テキストサイズ

悪いオンナ…2

第1章 【美大生の僕は魅力溢れる彼女に心奪われて…】






これで最後だから……そうだろ?
もう迷わず此処に来れたんだ
キミにサヨナラを言うために
ほら、キミはまた、言うだけ言って立ち去る
キャンバスが力なくして手元から落ちる
ドアを閉める音がして視界が揺らいでく



近付いてきた影に顔を上げると
涙を拭ったキミが僕の涙を拭ってくれる
開けっ放しにしていたドアを閉めて戻って来てくれた



「ガクは私なんかに揺らいだらダメ、私と居るとダメになっちゃうよ……だから離れたのに、ごめんね?本当は連れて行かれた時、凄く嬉しかった……飛び越えて来てくれて嬉しくて胸がいっぱいだよ……サヨナラ言う為に勇気出してくれたんだよね?全部わかってるのに……何で受け入れられないんだろ…っ」



僕の胸に手をついて頭を預けてきた
自分勝手でごめん…と消え入りそうな声で言う
震える肩を抱き締めたら終わりだ
また引き釣り込まれちゃう
頭ではそうわかっているのに……



最後だから…と心に言い訳をして肩を抱く
彼女が顔を上げたら……目が合ったら……
溢れて仕方ない想いをぶつけてしまう
腰から引き寄せ、僕から唇を重ねた
彼女の手は首の後ろに回り受け入れてくれる



馬鹿だよな、僕は
何でこんな女に引っ掛かったんだろう
いや、それは一目瞭然だ……
綺麗で華奢で……人懐っこい
どこからどう見ても良い女だから……



それに、キスもセックスも上手い
沼るには全部揃い過ぎている
離れても離れても……重なる
糸引いた唾液ごと、また絡ませる



「ごめんね……サヨナラは言わないで」



吐息混じりにそう言われて……僕はなんて答えたかはっきりとは覚えていない
一体何が正解だったのか、僕は一生かかってもわからないのかも知れないよ……






ストーリーメニュー

TOPTOPへ