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悪いオンナ…2

第1章 【美大生の僕は魅力溢れる彼女に心奪われて…】






「僕はもう二度と、キミを好きだなんて言わない!もう困らせたりしない!関わらない!だから……だから……最後の我儘、この絵の完成を見せて……終わり…っ」



クソッ……声が上擦った
必死に堪えてるのに、何でキミが泣いてるの
泣かせたいわけじゃない
迷惑だなんて百も承知だよ



「約束……守ってくれて、ありがとう」



キャンバスに触れて堪えきれずに大粒の涙が頬を伝って落ちていく
だから何で泣いてるんだよ
泣かせてるみたいじゃないか



ただ、もうこれで本当に終わりだ
だから思いの丈をぶつけてみようと思う
こんな機会はもう二度とないんだ
そうさ、僕だって………僕だって………



「本当はキミが嫌いだ、自分勝手過ぎるだろ、勝手に振り回しといて勝手に居なくなって……僕の事、心では馬鹿にして笑ってたんだろ?退屈しのぎにはなった?」



真っ直ぐ僕を見つめるキミは何か言いたそうだ
悪いけど聞きたくない
最後まで惨めな思いさせないでくれよ



「僕の事は綺麗さっぱり忘れてください……僕も忘れます、声もかけません、ちゃんと、出逢う前に戻ります、だから…っ」



最後にちゃんとサヨナラさせてください…って言うつもりだったのに、キミは僕にサヨナラさえさせてくれないのか
僕は何も言えなくなった
キミの唇に言葉を遮られたから



どんな想いでキスしてるの
何で泣きながらキスするんだよ
今の話、聞いてた?
これ以上、掻き乱さないでくれよ
それほど強くもないんだ



「全部ウソ……早口だもん、ガク、私の事、嫌いになれないよ、まだ好きでしょ?」



ちょっと待って、距離感バグってる
何で詰め寄られてるんだ
クソッ……忘れかけていた彼女の香りが鼻を掠める
戻るなんて一瞬なんだ
一瞬で戻される……





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