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キセキ

第11章 Vol.11〜一通の手紙

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妻がなくなってから10年
 娘が二十歳になった
妻の遺影にその報告をした

「私達の娘は立派に育ったよ
  今年、舞は留学でイギリスに行ったんだ
 すごいだろう?
   俺はこんなに英語が苦手なのに
 舞は英語で法律を勉強しているんだ・・・」

今日は、午後から妻の姉に久しぶりに会う
義姉にはとても大事な恩があった

「お義姉さん
  おかげさまで舞は立派に成長しました
 まだ、子育ては終わりじゃないけれど
 いろいろ助けていただいてありがとうございます。」
ホテルのカフェの一角
 明るい陽が差していた

「特に、あの手紙には感謝しています
  あの時は、舞が毎日毎日泣いていて
 私にはどうすることもできなかった
 あの手紙が
 舞を救ってくれました。
 あの手紙はキセキだった・・・」

そう。
あの手紙は、妻からのものではなかった
私が義姉に頼んだのだ

 妻からの手紙だと思えるように
 筆跡が似ている義姉に書いてもらったのだ

ふふ・・・
 義姉は微笑む

「まいちゃんはね、
 とうに気づいていたのよ
 あの手紙がお母さんからじゃないって」

「でも、
 お母さんからだって、信じたの
 信じようとしたの
 いいえ、
 たぶん、お父さんの気持ちが嬉しかったのね」

だから、キセキは
 あなたが起こしたのよ
 まいちゃんのたった一人の お父さんが・・・

そう言って、義姉はまた笑った
 妻も、笑った気がした

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