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キセキ

第12章 Vol.12〜魔法の時間

いよいよ、治療も万策尽き
 あとはいかに楽にあの世に旅立たせるか
そんな話が出始めた頃でした

父が、僕を病院に呼びました

僕は戸惑いながらも
促されるままに病院に行きました

病室には、点滴をつけられ、
 真白なベッドの上に寝かされた
痩せこけた母がいました

母はかろうじて意識があるようでした
父は黙って僕の背中を押しました

父にも、そして、僕にも分かっていたのです
 母に話ができるのが
もう今日しかないということを

でも、僕の口からはどんな言葉も出ませんでした
父はちゃんと言え、というようなことを言ったと思います

でも、やはり僕は何も言えませんでした

そんな時、母の主治医だった先生が
 病室の廊下に僕を連れ出して
こう言いました

「君の母親はもう死んだ」

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