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キセキ

第2章 Vol.2〜教会の祈り

一息つき、ご婦人はおっしゃいました。

「その母親は私にたどたどしい日本語で言いました。

 『ワタシは二度、
  日本の方にイノチを救われました。
  10年前に日本のセイネンに
  今、アナタに。

  ワタシは、日本に来ました。
  理由はイノチを助けてもらったからです。

  ワタシは、おレイを言います。
  あの時のセイネンには言うことができなかったから。

  理由は、セイネンは死んでしまったからです』」

「その女性は、息子に命を救われた人だったのです。
 彼女が妊娠しているとき、
 建物から逃げ遅れていたところを、息子が救いました。

 その直後、建物が倒壊して、息子が死んだのです。

 息子が助けた命を、私がつなぎました。
 私は息子の死を無駄にしませんでした。」

少しの間、ご婦人は息をつき、
沈黙なさいました。

そして、そのままそっと、ご婦人は帰られました。

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