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キセキ

第2章 Vol.2〜教会の祈り

「そこで、突然、一人のヨーロッパ系と思われる男の子が
 喉を押さえて苦しみ始めました。
 顔面がみるみる蒼白になっている様子です。
 母親はうろたえ、私には分からない言葉を話しながら、
 その子を介抱しようとしていました。
 私はとっさに立ち上がり、その子に駆け寄りました。

 そしてその子をうつ伏せにして背中を叩いたのです。
 2〜3度叩くと、その子の口から大きな肉の塊が落ちました。
 そうしてその子は息をし始めたのです」

ご婦人の顔はここからはうかがい知ることはできませんでした。
ただ、普段よりも少し声色が高く、口調が強いようでした。

「母親はその子を抱きしめました。
 そうして、私に向かって何度もお礼を述べているようでした。
 その後、父親と思しき人が参りました。
 母親から事情を聞いた父親は、
 日本語で私にこう言いました。

 『ありがとうございました。
  この子の命を救ってくださいました。
  あなたは神の御使です』

 父親は私の手を取りました。
 母親もその手に手を重ねました。」

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