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愛されてると勘違いだったので、推し活をやめようと思います

第7章 【選択1】

「無理……、無理よっ……! 私が武器を持ったところで、戦えるわけないわ……!」



現実はゲームみたいにはいかない。
そしていかに自分が今まで安全な場所で守られてきたのかを思い知った。



私の選択は間違っていたのだろうか?
あの場所でひたすら心を閉じて、叔父たちと接すれば良かったのだろうか?



「……っ……」



涙が頬を伝う。
でも私の涙を掬ってくれる人はいない。
優しい声をかけてくれる人もいない。



「……ここまで無事に歩いて来れたんだもの、もう少し頑張ってみよう」



涙を流して少しスッキリした私は冷静さを取り戻した。



本当に運がいいと思う。
まるでビーが守ってくれているかのように、その後は何事もなくS地区まで歩いてこれた。



私の前には大きな壁が立ちはだかっている。
そしてそばには軍人たちがいた。



「おい、そこのお前! 許可なくS地区に入るな!」



銃を持った軍人が私のそばに近寄ってきた。



「身分証明書を見せろ。荷物検査もする。あと、今までモンスターに遭遇して怪我をしたことはあるか?」

「……っ」



S地区に入るのに身分証明書を見せなくてはいけないなんて、知らなかった。
それにモンスターに遭遇したことまで?
そんなの聞いてどうするんだろう。




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