
スイーツ・スイーツ
第3章 攻防戦の果てに
作戦会議のために、場所を移した。
新入部員歓迎会の口実で、集団でカウンター業務をエスケープしたわけだ。
裏門から徒歩5分の喫茶店【ソノーレ】は、狭いの階段を上った2階だ。
店内は意外に広い。
もうすぐ修学旅行だから本場のを食べられるだろうが、という鏡子のコメントは無視して、長崎風ミルクセーキを私は頼んだ。ほかはケーキセットとかカフェオレとかだった。
◆
まず、鏡子の報告を聞く。
「自分が仇を討つのを義務と思ってます」
さらに、
「法律とか倫理とか十分すぎるほどわかったうえで、犯行を企てています。彼女の法律は彼女自身です」
「怖い」
コーヒーをかき回しながら、理恵子先輩。
私も怖い。
これでも、かなり反省して、出来る限りの償いをしてきたつもりだけど、まだ怪我ぐらいしないと足りないのか……。
「仕方ないので、路線変更しました」
ここで、鏡子はガトーショコラを食べ終わる。
つまり、今まで食べながら喋っていたわけだが、不思議と行儀悪いという気もしなかった。
「江戸時代の仇討ちのごとく、作法に則って若葉を怪我させるように、いくつか取り決めを」
・仇討ちは明日から三日間。お互いが校内にいる間だけとする。
・一応女の子だから、顔は絶対に傷つけないこと。
・どんなに浅手でも、ひと太刀浴びせただけで仇討ち本懐とすること。
・後遺症が残るような怪我をさせた場合、いさぎよく法の裁きをうけること。
黙って聞いていた菫が口を開いた。
「すでに、こういう取り決めをする辺り、犯罪となるような気がするんですが」
鏡子が応じる。
「ぶっちゃけ犯罪よ」
「──瞳が犯罪者に、なる?」
「なるよ」
「思い留まらせるには」
「説得するしかない」
「それしかないですか」
だめだ。有名無実な作戦会議になりつつある。
しかたなく強制終了とした。
そのまま、費用の7割を理恵子先輩に負担させる新歓女子会に移行した。
それが思いのほか盛り上がりすぎた反動で、一人での帰り道が、ちょっとだけ淋しかった。
新入部員歓迎会の口実で、集団でカウンター業務をエスケープしたわけだ。
裏門から徒歩5分の喫茶店【ソノーレ】は、狭いの階段を上った2階だ。
店内は意外に広い。
もうすぐ修学旅行だから本場のを食べられるだろうが、という鏡子のコメントは無視して、長崎風ミルクセーキを私は頼んだ。ほかはケーキセットとかカフェオレとかだった。
◆
まず、鏡子の報告を聞く。
「自分が仇を討つのを義務と思ってます」
さらに、
「法律とか倫理とか十分すぎるほどわかったうえで、犯行を企てています。彼女の法律は彼女自身です」
「怖い」
コーヒーをかき回しながら、理恵子先輩。
私も怖い。
これでも、かなり反省して、出来る限りの償いをしてきたつもりだけど、まだ怪我ぐらいしないと足りないのか……。
「仕方ないので、路線変更しました」
ここで、鏡子はガトーショコラを食べ終わる。
つまり、今まで食べながら喋っていたわけだが、不思議と行儀悪いという気もしなかった。
「江戸時代の仇討ちのごとく、作法に則って若葉を怪我させるように、いくつか取り決めを」
・仇討ちは明日から三日間。お互いが校内にいる間だけとする。
・一応女の子だから、顔は絶対に傷つけないこと。
・どんなに浅手でも、ひと太刀浴びせただけで仇討ち本懐とすること。
・後遺症が残るような怪我をさせた場合、いさぎよく法の裁きをうけること。
黙って聞いていた菫が口を開いた。
「すでに、こういう取り決めをする辺り、犯罪となるような気がするんですが」
鏡子が応じる。
「ぶっちゃけ犯罪よ」
「──瞳が犯罪者に、なる?」
「なるよ」
「思い留まらせるには」
「説得するしかない」
「それしかないですか」
だめだ。有名無実な作戦会議になりつつある。
しかたなく強制終了とした。
そのまま、費用の7割を理恵子先輩に負担させる新歓女子会に移行した。
それが思いのほか盛り上がりすぎた反動で、一人での帰り道が、ちょっとだけ淋しかった。
