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スイーツ・スイーツ

第3章 攻防戦の果てに

宣戦布告の翌日。
いつものように登校したが、さすがに足は重かった。

校門を入ると、刺客がいる――ラノベかアニメじゃあるまいし。しかし、これが現実なのだ。

校門の前に鏡子がいた。鞄を持っていないということは、一旦教室に入ったのだ。

「おはようございます。スカートは短くしてません」
「風紀委員じゃないって」
いや、絶対間違われるって。

「どうやら、瞳は欠席らしいよ。菫からのメールだから確実だろう」

は?

「あいつ、やる気あるのか」
「……どういう意味よ」
鏡子に言われると腹が立つが、私も正直、同じことを考えた。あれほどの決意を見せたくせに。

「そういうわけで、今日はSPしないから」
「わかった」

実は、私と鏡子はクラスが違う。校内で連絡をとるのは意外に難しいのだ。

だから報連相のために鏡子は校門まで来ていたのだと思ったのだが、
それだけではなかった。

生徒通用口で本物の風紀検査をやっていると警告するためだったのだ。
そして、鏡子は見事にそのことを忘れていた。

「忘れてた。ごめんね」
ま、鏡子に責任はないな。

同学年の風紀委員だった。服装チェックを受け、鞄を開けて見せる。ここは観念するしかない。

包帯、絆創膏、消毒薬。
鞄の中は見事に救急箱だった。

「まだ、いいほうだわ」
風紀委員が言う。

没収品を一時的に置く長机の上に、菓子やコミック、化粧品に混じって、ナース服とナースキャップがあった。

「いつから文芸部はイメクラになったの?」
「今日から」

悪びれずに鏡子が言った。

だめだ、こいつ。

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