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国家特別プロジェクト

第11章 赤ちゃんがお腹にいる10か月

ホールの中は、オリエンテーションの時と同じく、横10列・縦6列に机と椅子が並んでいた。前と同じ席に腰を下ろし、ざわざわしていた空気も徐々に静まっていく。

各机の上には真っ白なメモ用紙と三色ボールペンが置かれており、どこか「授業の始まり」を思わせる雰囲気が広がっていた✒️
「ほんとに学校みたいだね🤓」そんな小声に、隣の席からくすっと笑いがこぼれる。

やがて、おじいちゃん講師がマイクを手に取り、穏やかな声で語り始めた👴🏻
「今日は、妊娠と出産について学びます。十月十日、お腹の中で赤ちゃんがどう過ごすのか……皆さん、実はふんわりとしか分からない人が多いのではないでしょうか。そのために、この時間を設けました」

しんと静まり返るホール。普段あまり考えることのないテーマに、自然と背筋が伸びた。

講師は続けた。
「そして今回は外部から先生をお呼びしています。日々の現場で妊婦さんを支えている方です。助産師をしている亀田先生にお越しいただきました。それでは、先生よろしくお願いします👏🏻」

拍手が広がり、優しい雰囲気をまとった女性が前に進み出る。
「皆さん、こんにちは。助産師をしている亀田と申します😊
今日は妊娠と出産について、できるだけ分かりやすくお伝えしていきます。特に“お腹の中の赤ちゃんの1か月ごとの成長”をテーマに進めますので、イメージしやすいと思いますよ。私が日々の仕事で学んだことも交えながらお話ししますので、ぜひ有意義な時間にしてくださいね」

落ち着いた声に、張りつめていた空気が少し和らぐ。
その時、おじいちゃん講師がにこやかに補足した。
「机の上にあるメモ用紙に、大事だと思ったことをまとめてくださいね✍🏻」
そう告げられると、自然と全員の視線が手元の紙へと落ちた。
ホールには、これから授業が始まる独特の静けさが広がっていった📚

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