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国家特別プロジェクト

第13章 癒しのひととき、それぞれの午後

こころは落ち着いた照明の部屋でうつ伏せになり、整体師の温かな手に肩を押されると「はぁ……気持ちいい」と自然に息が漏れた。凝っていた背中がじんわりとほぐれていく。
一方、隣の部屋ではれおが腰を解されて「そこ、効きますね〜」と笑い混じりの声を上げていた。その声が壁越しにほんのり届き、こころはくすっと微笑む。別々の空間なのに、どこか一緒に癒されているような安心感が胸に広がった。

――同じ頃。
ふっと小さな間が生まれ、私は少し勇気を出して聞いた。
「ねぇ……げんくんの初恋って、いつだった?」

「俺?小3!」即答した彼は、にっと笑う。
「リレーのアンカーで1位だったんだよ。そしたらゴールした後に、3人から告白された🏃‪ で、とりあえず1人と付き合ったかな」
あっけらかんと話す姿に思わず笑ってしまう。
「やっぱり足が速い子ってモテるよね〜🙂‍↕️」
「んー、そうかも でもさ、当時は“モテてる俺すげぇ”って思ってただけで、正直よく分かってなかったよ😂」

彼の軽快な言い方がツボで、肩を揺らして笑ってしまった。

「まりかは?」
「私は……高1かな。文化祭の後夜祭で告白されて、付き合ったんだ💭なんか懐かしい」
「うわぁ、めっちゃ青春じゃん!」げんくんが声を弾ませる。
「俺も高1のとき、彼女と後夜祭過ごしたわ。花火見ながら騒いで、今思うとあれも青春だったな😁」

「……そうなんだ☺️」思わず笑みがこぼれる。
甘酸っぱい思い出を語り合うことで、お互いがちゃんと“恋をしてきた時間”を過ごしてきたんだと実感する。知らなかった過去を知れたことで、少し距離が縮まった気がして胸が温かくなる。

そんな私の気持ちを見透かしたように、げんくんはにっと笑った。
「でもさ、昔の話も楽しいけど――俺は“今”が一番大事だと思ってる。まりかとこうして話してる時間とかさ」
唐突な言葉に胸がきゅっと締めつけられ、顔が熱くなる。
「な、何それ……///」
「ん?本当のこと言っただけ😙」

ピンポン玉みたいに軽やかにやり取りが弾み、笑い声が夏の空気に混ざって広がっていった⛅️

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