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国家特別プロジェクト

第22章 がんと向き合う時間

亀井先生は黒板に書いたチョークを置き、改めて教室を見渡した。
「では次に質問です。どの“部位のがん”で亡くなる方が多いか分かりますか?男女で少し違いがありますよ」

ざわっと空気が揺れ、みんなの視線が交錯する。最初に手を上げたのはこころだった。
「女性は……乳がんが多いと思います🙋🏻‍♀️」
「惜しい!」先生が笑顔でうなずく。「乳がんは確かに多いのですが、順位としては女性の第4位なんです」

「へぇ〜意外😯」と声が漏れる中、私は少し考えてから口を開いた。
「肺がんは……男女ともに多そうなイメージがあります🧐」
「正解です👏」先生は黒板に大きく“肺がん”と書き込む。「男性の第1位、そして女性の第2位が肺がんなんです」

「よっしゃ、今度こそ俺が当てる!」たいようが拳を握り、勢いよく答える。
「胃がんだと思います!」
「これも正解です」先生がうれしそうにうなずく。「男性の第3位は胃がんです。ちなみに女性でも第5位に入ります」

「やっぱりか……😎」とたいようが小さくガッツポーズを決めると、今度はふうじゅが口を開いた。
「膵臓がんって……すごく重いイメージあるんですけど、ランクインしてるんじゃないですか?」
「その通りです👍🏻」先生が指で数字を示す。「女性では第3位、男性では第4位に入っています」

「なるほど……」とみんなが頷いたその時、後ろの席の男の子が控えめに声を上げた。
「……大腸がんも、入ってると思います🙋🏻」
「正解です👌🏻」先生は笑顔で黒板を指し示した。「大腸がんは男性の第2位、女性の第1位なんです」

その瞬間、教室が少しざわついた。「へぇ〜」「やっぱり生活習慣かな……🤔」と声が上がる。
先生はさらに補足するように口を開いた。
「ちなみに、男性の第4位には肝臓がんも入ります。ここまでで主要ながんのランキングが見えてきましたね」

そう言うと先生は鞄から数枚の資料を取り出し、黒板にぺたりと貼っていった📈
色分けされたグラフや数字が並び、チョークの文字と一緒に視界に広がる。
紙の端を押さえるマグネットが「コトン」と鳴るたびに、現実感が増していき、教室の空気が一層引き締まった。
「数字ばかりで眠くならないでくださいね😉」
先生の冗談に、場がふっと和む。

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