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宿で一息ついたしおんは、再び神様から渡された本を開いた📖
そこにはこの世界の暮らしや制度が詳しく書かれており、次の章にはこう記されていた。

《奴隷の売買制度が存在する。村を作るなら、まずここで人手を集めると良い》

「……奴隷、か🤔」

エルフ、獣人、人間。様々な種族が売買され、値段は年齢や能力、状態によって変わるらしい。
しおんは眉をひそめつつも、心の中で整理する。

（今すぐ買うつもりはない。ただ……どのくらいの資金が必要かは知っておきたい）

その日の午後、しおんは本に記されていた場所を頼りに、街の一角にある奴隷商館を訪れた。厚い扉を抜けると、香が漂い、静かな空気が支配している。

「いらっしゃいませ、冒険者様」
笑みを浮かべた商人が深々と頭を下げる。

「相場を見たくて来た。買うのはまた今度だ」
しおんがそう告げると、商人は「承知しました」と頷き、展示場の奥へと案内した。

並んでいるのは小部屋に区切られた檻。その中に、エルフの少女や獣人の青年、人間の子供などが控えめに座っている。
しおんは一人ひとりを眺め、値札に書かれた額を確かめながら歩いた。

「この子は人間族。まだ十歳です」
商人が紹介したのは、黒髪で痩せぎすな少女。だがその瞳には、不思議な芯の強さが宿っていた。
「気質はおとなしく、よく周りを観察しています。将来性を見込んで選ばれる方も多いのですよ😌」

しおんは値札をちらりと確認する。
【価格：銀貨8枚（＝銅貨800枚）】
昨日の薬草採取で得た銅貨数枚とは比べものにならない額だ。

（……安くはないな。でも、大人の奴隷に比べればかなり手頃だ）

隣の檻には、力仕事が得意そうな獣人の青年が座っていた。
【価格：銀貨25枚】
さらに奥には、美しい耳を持つエルフの少女。
【価格：金貨1枚＋銀貨10枚】
あまりの高額に、しおんは思わず息を呑んだ。

（銀貨8枚で人間の子供、獣人の青年なら25枚、エルフは金貨超え……相場はだいたいこんなものか）