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平凡OL、不慮の事故で異世界チート村長へ成り上がり

第37章 食卓に灯る温もり

「凛、できたぞ😉」
しおんが声をかけると、二階から小さな足音が響く。
凛はまだ頬に疲労の名残を残していたが、柔らかい笑みを浮かべながら降りてきた。

「……ありがとうございます、ご主人様」

花香が炊いた鍋のご飯は、ふっくらと艶やかで、湯気とともにほのかに甘い香りが立ちのぼる。
千夏の手で揚げられた白身魚は、表面がきつね色にパリッと仕上がり、箸を入れるとじゅわっと肉汁があふれ出した。
しおんが蒸した貝は大ぶりで、口を開いた殻の中に透き通るような身がふっくらと収まり、磯の香りと旨味が食卓に広がっていく。

「わぁ……いい匂い……!」
凛が思わず笑みをこぼすと、千夏と花香も誇らしげに顔を見合わせた。

「いただきます😊」
四人の声が重なり、箸が一斉に動く。

「……美味しい……😋」
花香が小さく笑うと、凛も頷きながら口に白身魚を運ぶ。
「外はカリカリ、中はふわふわ……千夏、本当に上手だね」
「えへへ……頑張りました😙」

その光景を眺めながら、しおんは胸の奥からじんわりと温かいものが込み上げてくるのを感じていた。
戦いでも宣伝でもなく――ただ家族のように囲む食卓。
それこそが、彼にとって何より愛おしい瞬間だった。

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