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「今日はとても頑張ったな千夏。……もうひとつだけプレゼントだ」
しおんはそう言って本屋へ向かった📕

「好きな本を一冊、選んでいいぞ」
「えっ……わ、私がですか……？」

千夏はぱちりと目を瞬かせ、ゆっくり棚の間を歩き始める。

「昆虫の図鑑も……役に立つかもしれませんよね🪲」
手に取り、真剣な顔でページをめくる姿に、学ぶことへの意欲がにじんでいた。

次に目を留めたのは、大きな地図帳だった。
「……こういうのを見ると、知らない場所に行ってみたくなりますね🗺」
指先で線をなぞりながら、未知の世界を夢見るようなきらきらとした目を向ける。

しかし、最後に千夏が立ち止まったのは――色とりどりの洋服や小物が載った本の前だった。
恥ずかしそうに視線を落としながら、その本を抱き上げる。
「でも……やっぱり、これが欲しいです。洋服や小物……実は興味があって……👗」

しおんは柔らかく微笑み、静かに頷いた。
「いい選び方だ。実用も夢も大事だが……自分が心から惹かれるものを選べたのは立派だ。千夏は将来、仕立て屋になるかもしれないな」

その瞬間、しおんの胸中に小さな笑みが浮かんだ。
（……やっぱり、女の子なんだな）

千夏の頬がふわりと赤く染まり、ぎゅっとその本を胸に抱きしめる。
「……ご主人様が、私の将来を楽しみにしてくださってるなんて……嬉しいです」

しおんは銅貨4枚を支払い、包みを受け取って千夏に渡した。
「ありがとうございます、ご主人様……！」
千夏の笑顔は、心の底から幸せそうに輝いていた。

二人が本屋を出ると、傾き始めた夕陽が街をオレンジ色に染めていた。
千夏は大切そうに本を抱きしめながら、ふと小さな声で呟く。
「……この本のページを全部覚えるくらい、大切にします」

夕陽の光がその腕に差し込み、彼女の横顔をやさしく照らす。
満足そうに微笑む千夏の姿に、しおんの胸には温かな誇らしさが広がっていた。