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しおんが家へ戻ると、紅葉と優子はまだぐっすり眠っていた。
「よく寝てるな……よほど疲れていたんだろう」

しおんが声をかけると、まだ寝ぼけ眼の紅葉と優子が小さく伸びをした。
「んん……」「はーい……」

「よし、起きたな。今日は3人で風呂に入ろう」
「えっ……ふろ……？」
紅葉と優子は一瞬だけ顔を見合わせ、少し照れたように頬を赤くしたが、しおんの穏やかな声に安心したのか、こくりと頷いた。

昨日は軽くシャワーで汗と泥を流しただけ。湯船に浸かるのはこれが初めてだった。
浴室に入ると、湯気がふわりと立ちのぼり、石造りの浴槽から心地よい熱気が漂ってくる。

「まずは体を洗うぞ。紅葉からな」
「はーい👌🏻」
元気よく返事をする紅葉の背中を、しおんは桶で湯をすくって流し、優しく泡立てた布で洗っていった。
「わ、わぁ……あったかい……」
「背中がつるつるになってく……」
紅葉はくすぐったそうに身をよじりながらも、嬉しそうに笑った。

「よし、次は優子だな」
「……うん」
少し恥ずかしそうに肩をすくめた優子だったが、しおんが優しく声をかけながら髪を洗い、背中を流してやると、次第に表情が和らいでいった。
「……気持ちいい……」
「だろ？」

2人を洗い終えると、しおんは「さあ、入るぞ」と声をかけた。
湯船に足を入れた瞬間、紅葉と優子は同時に「あったかい〜！」と声をあげ、頬をほころばせた。

しおんが真ん中に腰を下ろし、その両脇に紅葉と優子がちょこんと並んで座る。
小さな肩が湯に浸かり、しおんの腕にぴたりと寄り添っている。
紅葉は「ぷはぁ〜」と嬉しそうに息を吐き、優子は頬をほんのり赤く染めながら湯の表面を指でなぞっていた。

「気持ちいいね、優子☺️」
「うん……こんなに安心して入れるなんて、初めて😊」
「そうか……よかった」しおんは静かに頷き、2人の頭をやさしく撫でた。

浴室に広がる湯気の中、3人の笑顔がぽかぽかと溶け合う。
小さな肩が寄り添い、胸いっぱいに「安心できる家族のぬくもり」を感じる時間だった。