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平凡OL、不慮の事故で異世界チート村長へ成り上がり

第9章 始まりの契約〜凛〜

宿へ戻ったしおんは、受付のおばちゃんに声をかけた。
「今日からこの子も泊まることになった。よろしく頼む」

おばちゃんは少女をちらりと見て、にこやかに頷いた。
「はいよ。部屋も二人用に整えておくから安心しな😄」

その後、二人は食堂に腰を下ろし、夕食を並んで食べた。
テーブルに並んだのは、酸味と甘みが絶妙に調和した赤い果実のスープ、香ばしく焼かれたキノコの料理、外はカリッと中はもちもちのパン、黄金色に輝く果物――まるでパイナップルのような甘い実。そして、冷たいミルクのカップ。

少女は目を瞬かせ、信じられないように料理を見つめていた。
「……こんなに……豪華なの、食べてもいいんですか?」
「もちろんだ。遠慮するな」

恐る恐るスープを口にした瞬間、少女の目に涙が溜まる。甘酸っぱさと温かさが、空っぽだった心にまで沁み渡っていくようだった。次に焼きキノコを頬張れば、香ばしい香りとほのかな苦みが口いっぱいに広がり、また涙が零れた。

「……美味しい……全部、美味しくて……」
声を震わせながら泣き笑いする少女に、しおんは苦笑しつつも優しい声で言った。
「泣くな。これからは、こんなのいつでも食べられるんだ」

少女は慌てて涙を拭ったが、口元は笑顔のままだった。

しおんはパンをちぎりながら問いかける。
「なぁ、どれが一番美味しかった?」

少女はフォークを持ったまま、困ったようにきょとんとした顔をした。
「え……えっと……」
赤いスープを見て、パンを見て、果物を見て……そしてまたスープへ視線を戻す。
「……全部、美味しくて……選べません🌀」

本気で悩んでいる様子に、しおんは吹き出してしまった。
「ははっ、真面目だな。全部美味しいなら、それでいいさ」
「……はいっ😋」少女は小さく笑い、またパンを頬張った。

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