テキストサイズ

平凡OL、不慮の事故で異世界チート村長へ成り上がり

第11章 はじめての贈り物〜凛〜

仕立て屋を後にし、二人はギルドへ向かって歩き出した。
石畳の道を並んで歩いていると、凛がふと足を止め、胸の前で両手を重ねる。

「……あの、主人様」
「ん?」しおんが振り返る。

「私、自分の洋服を持てるの……本当に嬉しいです🥹」
凛は少し俯きながらも、真っ直ぐな声で続けた。
「今までは、ただの布切れみたいなのしかなくて……。それが“服”って呼べるものになるなんて……夢みたいで。……ありがとうございます」

その瞳は潤んでいて、頬も赤く染まっている。
しおんは一瞬驚き、やがて優しく微笑んだ。
「そうか。なら、これからもっと似合うものを揃えてやらないとな」

「……はいっ☺️」
凛はぱっと花が咲いたように笑みを浮かべ、足取りも軽く再び歩き出した。

二人はそのままギルドの扉を押し開ける。
掲示板に並んだ依頼の中から、しおんは迷わず鉱山採掘の依頼を三件手に取り、受付へと向かった。

受付の女性は手続きを進めながら、ふとしおんの横に立つ小柄な姿に気づいた。
「その方は……?🤔」
「昨日、買ったんだ」しおんが答えると、女性は少し驚き、にこやかに頷いた。
「そうなんですね。でしたら……もし宜しければ冒険者登録をされますか?最近は奴隷の方に登録させる方も増えていますよ」

「なるほど……せっかくだし、頼む」
しおんは凛の登録を依頼し、鉱山採掘依頼の手続きを終えた。

やがて受付嬢が差し出したのは、一枚の冒険者カードだった。
「こちらで登録完了です。“凛”という名前で記録されました」

凛は恐る恐るそれを両手で受け取る。小さな板に刻まれた自分の名前を見つめ、目を見開いた。
「……わたしの……名前が……」

指先で文字をなぞるように触れながら、胸の前に抱きしめる。
「本当に……“凛”って、ここに……」
震える声は涙ぐんでいて、それでも口元は笑みを浮かべていた。

しおんはそっと横から覗き込み、穏やかに頷く。
「これでお前は“凛”だ。もう、誰がどう呼ぼうと関係ない😊」

「……はい……ありがとうございます……🥹」
凛はカードを大事そうに胸に押し当て、小さく頷いた。

その後、街のパン屋に立ち寄り、野菜たっぷりのサンドウィッチを二人分と、果実ジュースを購入する🥬🍇🍊
軽食を手に、しおんと凛は鉱山へと向かった。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ