
脳内ショートストーリー
第4章 【和泉沙良と金城伶〜年下くんとの恋〜】
まぁ、本当は今日は普通に何も予定なくて
二日酔いウェルカムな日だけどね
そういう日の前日は飲むって決めてて……
しかし、昨日は羽目を外し過ぎたようね
明日からはもう少し大人しく生活しようっと
そう思っていたのに……
この4月から配属された企業
私はそこでドクター(産業医)として
常駐している
医者は医者でも、病院で働く医者ではなく
大きな企業に出向いて、その企業で働く人の
健康面であったり精神面であったりを診る立場
前に居た企業はとにかく暇だったけど
やっぱり社員の数が多くなると…というより、
この会社、何処も悪くないのにやたら人が来る
「こんな綺麗な人だったら毎日診てもらいたい」
「は、はぁ…元気そうなんで戻ってください」
まぁ、褒められる事は悪い気はしないけど
次から次へと来られてはこっちが疲れる
最初は物珍しいから来るのよね
前に常駐していた人は男性医師だったとか
次の予約は……金城 伶さん、24歳か、若いね
動悸がする……ストレスかな
「どうぞ」と通してまずは診察するんだけど
顔を見合わせた瞬間、
お互いが“あっ…”てなったのがわかる
一瞬、動けなかった
あぁ…こんな事があるのね、現実にも……
世間は狭い、と言うべきか
あの日のワンナイトを過ごした相手だとすぐにわかった
かなり気まずい
「はじめまして、この春から配属されました、医師の和泉 沙良と申します、宜しくお願いします…」
「いずみ……さら、さん」
こんな形で自己紹介する事になるとはね
あのまま、会うこともなく過ごせるものだと
思っていたけれど、神様に意地悪されるパターンね…
問診票を見ながら「胸の音聴かせてください」と
聴診器を当てた
胸の音は問題ない
24歳となれば、仕事もある程度わかってきて
力の抜き方も少なからずコントロール出来てくるはず
やはりストレスとなれば働いている環境によるものか
