
脳内ショートストーリー
第4章 【和泉沙良と金城伶〜年下くんとの恋〜】
「あの、僕の事、覚えてますよね?」
カルテを作成していた手が止まる
確かめに来たってわけ?
動悸とかもデタラメかな、
さて、どうしたものか……
「すみません、仕事とプライベートは分けたいので、そういうお話なら致しかねます」
「あれから動悸が止まりません……あなたを思い出して」
再び手を止めて、彼の方を見た
「何をしに来たの?此処に」
「本当に困るから来たんです、まさか代わった先生があなただとは知らずに来て、正直、今、めちゃくちゃ混乱してます」
タイピングをやめて足を組み直した
目線は逸らさぬまま、じっと見つめる
確かにあの時と同じ、整った顔
あれからどれくらい経ったかと言うと1ヶ月程だ
その間、忘れられなかった?
嘘に決まってるでしょ
「それは困りましたね、すぐにでも忘れ去らないと」
「僕もそう思いました、あの人にとってはワンナイトに過ぎないんだろうな、と……でも僕だけですかね?あんな……身を焦がすような行為をしたのが初めてで…」
「ちょ、ちょっと…っ」
思わず身を乗り出し、彼の言葉を遮った
手で口を覆ってしまい、ニッコリ笑われる
襟を正して座り直すも
「やっぱりあの時のお姉さんだ」と満面の笑み
お給料が良いからとこの企業を選んだ事に
初めて後悔した
頭を抱える私に
「もう一度会いたかった」って信じられる?
ワンナイトなんて、人生であの一回きりよ
いい歳して何やってんだかって自分で呆れてた
良い思い出として取っておこうと言い聞かせてたのに
目の前に現れた彼に戸惑ってる
完全に忘れてたかと言えばそうでもない
寧ろ、思い出してソロもしてた
確かに、相性は良過ぎた
あんな逝き乱れた事もなかったから
今までは慣れた人と…と思って年上ばかりと
お付き合いしていた
だからといってセックスが上手いわけじゃないんだ
…ということも知って
