
脳内ショートストーリー
第4章 【和泉沙良と金城伶〜年下くんとの恋〜】
ドアの前に立った
ドアノブに……掛けるだけなのに手が動かない
えっと……どうしよう、直接渡した方が良い?
インターホン鳴らす?
いや、会わずに帰る……だって届けに来ただけだもん
アタフタしているうちにガチャ…と開いたドア
「あ……」
マスクして、冷えピタして、
髪もボサボサのスウェット上下の金城くんが見えた
動けなかった私の手を取り、
パタン…と閉ざされたドアの向こう
引っ張られてつい、中に入ってしまった
「沙良さん……沙良さんだ……」
熱はないけど頭痛がするから冷えピタ貼ってるんだって
ギュッと抱き寄せられて重心を失いそう
かと思えばパッと離れたり
「あっ!今、僕、臭かったですよね?シャワー浴びてきます!すみません!」
「え、え、待って、キッチン…借りて良い?」
「え?良いですけど……何か作ってくれるんですか?」
「みぞれ煮込みうどん、食べる?」
「え、食べる!絶対美味しそう!ダッシュで入ってきます!」
「ねぇ、慌てなくて良いから、またぶり返すよ?ゆっくりね?」
「は、はい…」
自炊はしてるって言ってたから片手鍋くらいは
あるかなって思ってた
お、やっぱあった、さすが……
キッチン用品も手の届くところにあって
結構、料理は作る方なのかな
「みぞれって言ってたけどおろし金ないかもです!」
「え、もうシャワー浴び終わったの?コラ、髪の毛乾かしてきて」
「で、でも、キッチンに沙良さん居るって思ったら絶対見なきゃって」
「はいはい、ちゃんと乾かしてくる!」
「はーい」
ちなみに、おろし金はないかなって100均で買ってます
「さすが〜」ってニコニコしながら後ろに居る
手際が良いからいちいちリアクションしてくれる
味見してもらってOK出ました
「あれ、沙良さんは食べないんですか?」
「うん、帰ったらご飯あるし」
「え、誰か待ってるの?」
「ううん、作り置き」
「凄っ…」
