
脳内ショートストーリー
第4章 【和泉沙良と金城伶〜年下くんとの恋〜】
「ちゃんとご飯、食べれてるの?」
——あぁ、何か食欲なくて、薬飲む為にさっきプリンだけ食べました
そんな事だろうと思った
あれこれ考えるより先に行動したいタイプだから
口が勝手に動いていたの
「何か食べたいものある?届けようか?」
——えっ!!そんな、悪いですよ、あぁ~でも会いたい、沙良さん不足なんです、あぁ、移しちゃいます、やっぱダメです
「クスッ……じゃあ、ドアノブに掛けて帰るから……Uber沙良、なんてどうかな?」
——わわ、それ最高です、あぁ、でも会いたい、沙良さんに、何からだ壊してんのよって叱られたいです
「おーい、思考が変な方向に行ってるよ?私、そんなSキャラじゃないでしょ、とにかく風邪ひきさんに効くようなもの買っていくから、ドアノブ掛けたら連絡するね」
最寄り駅は知ってるけど住所までは知らないので
住所を送ってもらった
意外と信頼してもらってるのね
他の人にも教えたりするのかな
大丈夫、私は病人を助ける為だけ
一人暮らしだと何かと不便だろうから
最寄り駅のスーパーで片っ端からカゴに入れていく
風邪といえば…な食材ばかり
栄誉ドリンクに経口補水液、冷えピタ
スーパーの袋を提げてナビ通りに向かう
へぇ、綺麗なマンションじゃん……
エントランスを抜けて部屋番号を押す
オートロックが解除されて中へ
本当に来ちゃったよ、私……
こんな事する人間じゃなかったのに
前の彼なんかはコロナに罹った時も
完全に治るまでは会わなかった
それがお互いの為だと思っていたけど
今は違う
何でなのかはわからない
もし、彼が、金城 伶くんが同じ状況でも
こうして会いに来てたかも知れない
何故なのか、一人だと寂しいだろうなって
痛いほどわかってしまうから
あのドアだ……
ノブに掛けて背を向ける……
電話を掛けて「今掛けたよーまたね」って言うの……
このドアの向こうに弱った金城くんが居るのかな……
