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お嬢様は騎士に恋をする

第2章 大人とは一体なんですか

食事を終えてリリスに再び支度のお手伝いをお願いする。お出かけに相応しく、控えめなワンピースにして髪は可愛くしてもらってあるのでそのままで。

玄関まで行くと、既にレインお兄様とジュンが待っていた。

「レインお兄様、ジュン。お待たせいたしました」
「マーリャは何を着ても可愛いね」
「当たり前です。マーリャ様は何をしても可愛らしいのですから」

ジュンがお兄様に食って掛かると、お兄様はニコニコしているのに空気が冷たい。ジュンも同じで、どこか機嫌が悪いのが何となく分かってしまった。

「お兄様もジュンも、そろそろ行きましょう……?」
「それもそうですね。マーリャ様、失礼しますね」
「え」

2人にそろそろ出かけようと促すと、ジュンが私の右手を取ってまさかの恋人繋ぎをしてきた。私は思わずその繋がれた手を見つめてしまう。すると反対側の手も繋がれる感覚があり、パッと左を見ると笑顔のお兄様が居た。こちらもやはり恋人繋ぎをしている。

「ジュン……?お兄様……?」
「たまにはマーリャとこうして手を繋ぐのも良いだろう?」
「……レイン様には分別という物が無いのですね」
「兄妹なんだからこれくらい何でもないだろう?」

私は戸惑って2人の名前を呼ぶくらいしか出来ないでいると、冷ややかな軽い言い争いが起きてしまい更に困惑してしまう。ここはもう、あの言葉を使うしかない。

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