リーニエント
第4章 ジャスミン
「きた君、しないの?」
零れた一言に、身体が強張った瞬間だった。
「なな、なにを」
「キスしたいって、思わないの?」
「えー……と」
恐る恐る聞き返せば、また突拍子も無い単語。
北斗ははて、自分達は付き合っていただろうか?
自問を始めてしまうほど、クエスチョンマークが脳内で飛び交っていた。
「あたしはずっとずっと、思ってるんだよ」
「莉茉?」
「まだ解んない?ずっと好きだって、言ってるのに!きた君なんて、だいっき……っっん」
突然、莉茉の口を塞いだ北斗。
「…っい…つっ」
「っっひゃぃ……」
……塞いだつもりだった。
重なる唇と共にガツンと、痛みの伴う音。
同時に声を上げ、それぞれ自分の口元に手を当てた。
「…っうそ、今のキス?ねえ、きた君どうして?」
どうやら口内、唇は傷付いてはいない。
痛みのせいか少しの沈黙が流れ、切り出したのは莉茉だった。
「だって。莉茉の口から嫌いだなんて言われたら、生きてけない」
「それって、りまのこと好きってことよね」
顔を覗き込むように身を乗り出した彼女から、顔を反らすように横を向く。
「う……ん、莉茉の好きとまた違う気もする、かなって」
自分の思う"好き"は妹のような、家族愛に近い物だと言い訳じみた説明を始める北斗。
「今、キスしたじゃん。それって、りまの好きと同じじゃないの?」
焦れったい様子の北斗に、苛立ちを隠せない莉茉。
舌足らずの癖に、やたら早口でまくし立てる。
こうなると彼女は止まらない。
「えっ!いや、今のはなんて言うか…っんん?!」
ふにゅりと重なる柔らかい物。
それは莉茉の唇しかない。
自分の勢い任せなやり方と違って、とてもソフトだった。
「……ふはっ」
「り、莉茉?」
「きた君の唇、やーらかい……」
離れた莉茉は目尻を下げて、うっとりと呟く。
「ちょ、まっ……莉茉っ…ん」
「きた君、大好き」
頬に触れた小さな手に、コクリと喉仏が上下に揺れる。
制止も間に合わず、それは再び重なることに。
「俺っ、んう」
俺にも言わせてくれ……。
発言権を封じられた北斗は、可愛いキスの嵐をただただ受け止めていた。
END
20251225
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