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クラスの人気者は、刹那の2時間を買い戻したい。

第15章 個別補習&カテキョ

水曜:日本史/高城礼子(42)

熱血、歴史オタク。
どっしりとした貫禄と頼れる姉御肌ただよう女性教師。

個別指導室に入ってくるなり開口一番彼女は言い放った。

「白瀬くん、今日は推し武将を決めるまで帰れないと思いなさい」

「え、えぇ〜、推し武将!?」

なかなかアクの強い礼子にビビりまくる刹那。

「冗談はさておき、中間テストの結果見たわよ。51点……なんて事なの」

「……人の名前覚えるの苦手で」

「そう、そこから間違ってるのよ。名前なんてただの記号。覚えるのは生き様よ!」

玲子の目がギラギラしている。

(こ、怖い)

「知ってる武将を言ってみなさい」

「織田信長」

「みんな大好き信長。彼がどんな武将だったか知ってる?」

「えぇ〜っと、本能寺で明智光秀に裏切られて死んだ」

「そう、それは有名ね」

礼子は満足そうに頷いた。

「じゃあ質問。信長は何をした人?」

「……戦?」

「ざっくりし過ぎ!」

礼子は机をバンッと叩いた。

刹那はビクッと肩を震わせる。

「信長が凄いのはね、戦が強かったからじゃないの。『当たり前』をぶっ壊したからよ」

「当たり前?」

「例えば楽市楽座。簡単に言うと商売のルール改革ね。昔からのしがらみを壊して、誰でも商売しやすくしたの」

「へぇ」

「それから鉄砲。みんなが刀で戦ってる時代に、信長は新しい武器をどんどん取り入れた」

礼子は黒板に大きく【変化を恐れない】と書いた。

「歴史上の人物を覚えるコツは年号じゃない。その人が何を考えて、何を変えようとしたかを知ること」

「なるほど」

「白瀬くんもそうじゃない?」

「オレ?」

「二十歳で高校生。普通じゃないわよね」

「まぁ……そうかも」

「でも、それを理由に学校辞めたりしてない。ちゃんと通ってる」

刹那は少しだけ考え込む。

礼子はニヤリと笑った。

「信長も周囲から散々変人扱いされたのよ。だから私は好き」

「先生の推し武将って信長なんだ」

「そう。じゃあ次は白瀬くんの番」

礼子は分厚い戦国武将図鑑を机に置いた。

「この中から気になる武将を探しなさい」

「マジで推し武将決める流れなの?」

「当然よ」

礼子は真顔だった。

刹那は深いため息を吐きながら図鑑を開きしばし読みこむ。

「オレの推しは伊達政宗に決めた」

「素晴らしい!」

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