
新月
第1章 普通
「朝から泣いてんじゃ無いよ まったく」
「泣いてねーし」
誰のせいだ!っと心の中では
思っているが、殺されるから
ギリギリの強がりを見せた…
つもりだ。
ぶつぶつ言いながら席に着くと
同時に料理の盛られた皿が置かれる
「早くメシ食いな!」
うちは母子家庭だからもう、
朝から大忙し。
なのは母さんだけだけどね(笑)
「いただきまーす」
これがいつもの日常。
今日までは。
「ごちそうさま!」
そしてTVを見…
「今日入学式だろ?間に合うのかい?」
…ない。
「やっべ忘れてた!」
大急ぎで階段を駆け上がり、
クローゼットを開く
「入学式だし、制服の方が良いよな。」
私服の学校だが、
制服があるという事は
そういう事だろう。
ダッシュで玄関を飛び出す
「行ってきまーす!」
「気を付けて行ってきな!」
言った時にはもうドアは閉まっていた
自転車で坂道を駆け上がる
校門が開いていない
遅刻!
あたふたしていると
後ろから声をかけられた
「おい!」
「ひい」
思わず背に筋が通る
「何でこんな早くからここに居るんだ?」現れたのは
図体のでかい白衣の男だった
「すいません……え?はやく?」
「まだ五時三十分だぞ」
腕時計を指差しながら言った
