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淫らな死体~お嬢さま春泉の秘密~④

第9章 哀しい誤解

 秀龍はやはり同じように香月にも花を贈ったのだろうか? 春泉にくれたのと同じこの白い花を? それとも、彼のことだから、香月の好きな花をわざわざ選んだのかもしれない。
 春泉は再び両手で顔を覆った。
 ああ、もう、いや。
 今まで自分は何も知らなかった。こんな醜い感情が自分の中に隠されていることも、誰かを想い、恋い慕うのがこんなにも苦しいことだとも。
 ミャ―、ミャーと、小虎と素花が春泉を励ますようにまた鳴いた。
 春泉は泣きながら、二匹の猫を両手で抱きしめた。

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