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淫らな死体~お嬢さま春泉の秘密~④

第4章 母の恋

 熱い吐息が耳朶に吹きかけられる度、チェギョンの身体に稲妻が走ったような震えが起きた。
「きれいな身体だね。指や耳だけでなく、ここも、ここも。あなたの身体のすべてを食べてしまいたいよ」
 少年がチェギョンをゆっくりと褥に横たえてゆく。仔猫が母猫に甘えて身をすり寄せるように、少年は彼女の豊かな胸に顔を埋める。
 その谷間に鼻を押しつけながら、くぐもった声で言った。
「―本当にきれいだよ」
 彼はチェギョンの胸をうっとりと眺め降ろす。子どもを生んでいても、自らの乳を与えたことのない彼女の乳房は張りも十分にあり、なおかつ慎ましやかな蕾も淡い桃色を保っていた。
 その胸のうえを指先でくるくると円を描き嬲りながら、少年はチュッと音を立てて軽く口づける。
 次の瞬間、豊かなふくらみの先端をきつく吸い上げられ、チェギョンは、すすり泣きのような声を上げていた。
 閨を満たす空気が徐々に熱を孕んで、今にも火を噴きそうなほど熱くなる。
 少年の愛撫は次第に烈しさを増し、狂おしくなっていった。
 最後の瞬間、チェギョンは彼の言ったとおり、固く閉じた瞳の奥に天界の国をかいま見た。それは喩えていうなら、黎明の空で、うす蒼い夜明けの空に端がほんのりと茜色に染まっている―そんな感じであった。
 絶頂を迎えたチェギョンが鋭い叫び声を上げようとしたまさにその時、少年は素早く彼女の唇を塞ぎ、声が外に洩れないようにした。
「―ねえ、言ったとおりでしょ。良かった?」
 無邪気に問いかける少年の表情には先刻までとは違い、あどけなささえほの見える。
 チェギョンはこの時、心地良い疲れにたゆっていて、応えることすらできなかった。まだ彼は彼女の胎内に挿ったままで、歓喜の漣が余韻のように下半身から四肢へとひろがり、チェギョンの奥は彼を迎えたまま、緩やかな痙攣を繰り返していた。
「一つだけ訊いて良いかな」
 少年が相変わらず無邪気に訊ねてくる。
「あなたのご主人が今度、このお屋敷に帰ってくるのは、いつなの?」
 何も知らない少年の顔で。
 殺意など微塵も感じさせないやさしげな声で。

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