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狼と白頭巾ちゃん

第2章 優しい声

「そんなに怯えないで。僕は、君があんまり悲しそうな顔して歩いてるから、気になって声を掛けたんだ」

木陰から聞こえる声は、とても優しい雰囲気を纏って、ライラの耳に届いた。

しかし、声の主は、依然姿を見せない。

ライラは警戒を解けないまま、けれど、その優しい声と言葉に少しだけ心を動かされ、問いかけた。

「あ…、あなたは、誰…?」

「僕?僕は、シン。白い頭巾のお嬢さん、君の名は?」

ライラの問いかけに、男は素直に答えたが、しかし、やはり姿は見せようとしない。

「わ、わたしは……」

名乗ろうとして、ライラは思い留まった。

母親から言われた事を、思い出したのだ。

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