俺を好きだと言ってくれ
第2章 *出逢い..
「美優、帰ろ!」
「あ……うん…」
「どうした?」
保健室に戻って来るなり、美優の荷物を肩に掛けた龍平が首を傾げた。
ベッドに腰掛け一点を見つめたまま固まる美優を心配そうに見つめる。
「…ううん。何でもない。」
モッチーと入れ違うように桐谷くんは保健室から出て行った。
廊下ですれ違ったりすれば、きっとモッチーはその話題に触れるはずなのに―…
「帰ろ。送るよ。」
美優の体を支えるように腰に手を回し、歩くのをリードする。
でもモッチーがやると不思議とやらしさなんて感じない。
一人の男ではなく、一人の友達として私を心配してくれる。
「……ねぇ、桐谷くん………」
「え?」
美優の言葉に驚いたのか、一度足を止め、目を見開き固まった。
「桐谷くん………
帰ったんだよね…?」
「おぉ…たぶん…。
美優が保健室に運ばれてるのを横目に、カバン持って校門に向かってたから……」
それが本当なら、
わざわざ戻ってきたの?
でも、何のために?
さっきの感じだと、
謝りに来たとは到底思えない。
「…美優……?
玲央がどうかした…?」
「…あ、ううん……!
人を怪我させといて謝りにも来ないなんてひどいなぁって思っただけ…!」
「ほんとだよな。
でも、美優にしては珍しく厳しいこと言うのな(笑)」
笑って誤魔化すと、モッチーもつられて笑う。
まさか、このやりとりを見てる人がいたなんて気付かなかった。