俺を好きだと言ってくれ
第3章 *初恋..
咄嗟のことだったから―…
謝ろうとした時にはもう遅かった。
『………ごめん………』
『あ、おい…空……!』
「…………」
教室から出て行く神崎くんの冷たい目を私は忘れない。
好きなのに………
大好きなのに………
その感情に振り回されてる自分に混乱してて、もがき苦しむほど相手を傷付けてしまう。
『…美優………
今のはないだろ………』
「…んっ……わかってる………」
『空にはそんなに聞いてほしくないことなわけ?』
「…うん…………」
『………どうしたんだよ。
誰にも言わないから話せって。』
神崎くんを怒らせてしまった今、もう何もかもどうでも良かった。
『…美優………
まさか………』
「…………」
俯いてた顔を少しだけ上げてモッチーを見ると、いけないことを見てしまったような表情をしてた。
「…そう。
好きなの………
神崎くんが………」
『まじかよ』と小声で言うと、その場にしゃがみ込んだモッチー。
きっとモッチーもこの恋は絶対に叶わないとわかってるから、私を慰める言葉を必死に探してるんだと思う。
「……ごめんね………
ずっと黙ってて………」
『いや……いつから?』
「わかんない……。
気付いたら好きだった……」
『そっか………』
『美優には無理だ』とか『諦めろ』とは言わないモッチー。
「いいよ。
無理だって笑っても。」
『笑わねぇよ。
むしろ辛いのに気付いてやれなくてごめんな。』
モッチーはほんとに優しい―…
今流れる涙は嬉しさ涙―…
「っ…ありがと………」
この話を廊下で聞いてる人がいるなんて気付かなかった。