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俺を好きだと言ってくれ

第3章 *初恋..

 


「っ……!!」



『奥田さんって命いくつあっても足りないよ?』







落ちると思って構えたら、神崎くんに抱き寄せられて自分の足で着陸してた。







「あ…ありがと……////」







息ができないくらいに胸が高鳴り、体全身が心臓みたいにバクバクと脈打つ。








『ほんとに危なっかしくて見ていられないよ。』







さっきの口調とは違い、優しく安心した声。




顔を上に上げると、神崎くんは額の汗を拭うように前髪を掻き上げた。







「あっ………」



『――?』







初めて見た、神崎くんの顔全体―…




長い前髪からは見えていなかった額や眉、瞳まで今はしっかり見える。







「神崎くん!!
前髪短い方がかっこいいよ!!!」



『え……?』







美優のあまりの興奮ぶりに、キョトンとする空。







「前髪長いと目悪くなっちゃうし!
ね?切った方がいいって!!」







「うんうん」と自ら頷き、満面の笑みで見つめる美優を空は軽く笑った。








『奥田さん、面白いね。
いつも明るくて見てて元気もらえるよ。』



「えっ………?////」







初めて美優に向けられた空の笑顔に思わず顔が赤くなる。




由紀さんにだけ向けられてた笑顔が、今一瞬だけでも私に向けられた―…







『……もう帰る?
校門まで一緒にどう?』







今日のこのやりとりだけで、今までで1番、神崎くんに近付けた出来事だった。



 

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