俺を好きだと言ってくれ
第3章 *初恋..
放課後、職員室まで日直の日誌を届けて教室に戻る。
「げっ……!」
綺麗にしたはずの黒板には、誰かがふざけて書いた落書きがあった。
「書いたら消してよー………」
黒板を綺麗に消すのは日直の仕事。
日誌を届ける前に綺麗にしたはずなのに、先生と話し込んだ30分くらいの間で誰かが書いたらしい。
「最悪………!」
黒板消しを片手にさっきよりも雑に消していく。
よりによって、なんでこんな上に書くわけ?
この高さ届かないっつーの!
「んっ……!」
必死に跳びはねて上を消そうとした時、
「あっ………」
握ってた黒板消しが手から抜けて、目の前のチョークの文字もスッと消された。
上の方に向けてた視線をそのまま右へと動かす。
「……神崎く…ん………」
チョークの落書きと同じくらいの高さにある顔をそのまま見上げた。
無言で黒板の文字を消す神崎くんの横顔に思わず見とれてしまう。
『日直、
ひとりのわけないよね?』
「え……
あ、なんか用があるって帰っちゃったみたい……」
怒ってるのか不機嫌なのか、いつもより口調が重い。
「っ…い、いいよ…!
後は自分でやるから……!
ありがと」
もう1つの黒板消しを手に取り、椅子に立ち上がった瞬間………
「きゃっ!!!!」
バランスを崩して後ろに反り返った。