
パプリカより甘いカレ。
第1章 気付いたの。
「で、何してたんです?」
「ん?字を書いていたんだよ、ほら」
そう言って、先生は床に半紙を広げ始めた。
墨の良い香りがしてくる。
「ええっ!上手すぎっ!」
先生が書いていたのは行書だった。
私が書きたい字を先生は描いていた。
線の細さも、ふにゃっとしていなく、滑らかに描かれていた。
「俺は行書一筋で10年間やってきたからな」
「先生今何歳ですか?」
「25」
「じゃあ私くらいの時に書き始めたんですね」
「そういうことになるな。無理して入れとは言わないけど、この際どうだ?」
そう、私は実を言うと小学校から書道をやりたかった。
だけど、地元にはそういう教室もなかったため、出来ないで終わってしまった。
だから、私は…
「先生、私書道部に入ります」
笑顔で私と先生は見つめあった。
「仕方がない、明日から指導してやるか」
先生は安心したかのように、ため息をつきながら言った。
